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【書評】『いま、釈迦のことば』瀬戸内寂聴 心が軽くなる仏教の教えをわかりやすく

time 2017/04/25

【書評】『いま、釈迦のことば』瀬戸内寂聴 心が軽くなる仏教の教えをわかりやすく

私は基本的に特定の宗教を信仰しているわけではないのですが、宗教の教えにはすごく興味があります。

もともと俗物的に『開運したい!!』という願いから始まって、スピリチュアル、ニューエイジ、占い、オカルト、民俗学、生物学…と、目に見えない力について調べていると、宗教や信仰は避けては通れないジャンルなのです。
中でも神社参拝が好きなので、自然と神道に傾倒していますが、日本は明治維新前まで神仏習合されていたので、同時に仏教も入り混じります。

お釈迦様は人の身に生まれ悟りを開き、生涯各地を行脚しながら教えを説き、人々を救済されました。

最初から全知全能ではなく、人間として艱難辛苦を経験したからこそ、いまだ心から生じる苦しみにあえぐ人に共感し救いを施せるのではないでしょうか。

瀬戸内寂聴さんの穏やかな中にもユーモアのある語り口で綴られるお釈迦様のことばとエピソードを追っていくと、抵抗感なく無意識に引っかかって絡まっていた苦しみの糸口を見つけられるように思います。

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賤しい人の条件

生まれによって賤しい人となるのではない。
生まれによってバラモンとなるのではない。

行為によって賤しい人ともなり、
行為によってバラモンともなる。

『いま、釈迦のことば』より引用

お釈迦様の時代にもインドでは厳しいカースト制度がありました。
お釈迦様は元々王子様でありながら、地位を捨て修行の道を選ばれています。

生まれ持った階級ではなく、行為によってのみ貴賤が決まる。

差別や他人を貶める賤しい人にならないためにも、胸に刻みたい言葉です。

この章でお釈迦様の説いた「賤しい人の条件」が羅列されています。

「怒りっぽく怨みがましい人で、根性が悪くたくらみのある人、見せ掛けで人をだます人」
「村でも町でも人のものを盗む人」
「暴力を用い、または相愛して、親族や友人の妻と交わる人」
「悪事をしておきながら、ばれないことを望み、悪事をくりかえす人」

などなど、多数の例を上げています。
なんだか昨今でもニュースに出てくるような人物像で…。

事の大小はあれ、自分がこういった「賤しさ」に堕ちることがないよう、身を引き締めたいものです。

51歳で出家した寂聴さん

作家の岡本かの子(※)はその時、女性の仏教研究科の先達として、マスコミから引っぱりだこになりました。(中略)

岡本かの子との縁がなかったら、私と仏教の縁は結ばれなかっただろうと思います。
『かの子繚乱』を書きはじめたのは三十九歳で、仕上げたときには四十二歳になっていました。しかもその間じゅう、私は生涯で一番苦しい愛欲の渦に溺れていました。(中略)

それから十年後、私はついに出家して晴海から寂聴に生まれ変わりました。五十一歳の秋でした。

『いま、釈迦のことば』あとがきより引用

岡本かの子さんは、芸術家岡本太郎のお母様です。
歌人として活躍する一方、夫の了承を得たうえで年下男性と恋愛関係となり、家族と住む家に年下の恋人を住まわせていました。
岡本太郎さんが結婚という形を忌避して、生涯のパートナーである秘書の敏子さんを「養子縁組」という形でそばに置いたのも、そんな家庭の影響があったといいます。

そして引用にあるように、今は尼僧として活躍されていますが、その出家を決めたのは愛憎に苦しんだ末といういきさつがあります。
本の中でも「愛憎の恐ろしさ」については実感がこもっていてリアルです。笑

きれいごとを振りかざしても共感に至りません。
「愛憎離苦」をはじめとする四苦八苦を体験し、それを乗り越えてきた寂聴さんの言葉はとても同情的で温かく感じるのでしょう。

まとめに

瀬戸内寂聴さんの語り口がわかりやすいのもありますが、お釈迦様のウィットに富む言い回しや問答もとても面白いです。
悟りを開き、動揺がなく凪いだ心。
もやのように漠然と日常に降りかかる苦しみ。
それらを乗り越える叡智に触れる、生きやすくなる本です。

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REINA

REINA

REINAと申します。 趣味はパワースポット巡りと開運効果検証。ラーメン好き。猫大好き。嗜む程度にオタク。 [詳細]



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