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神社仏閣の境内や、町のはずれにある庚申塔。
ふと気づけば見かけるけども、詳しいことはよくわからない。
神社で特別にお祀りしているというよりは、町のはずれにただあるだけというケースも。
さて、一体何の神様かご存知でしょうか?
実は私も最近までよくわかってませんでした。笑
三猿がいるってことは日光東照宮でも関係あるの???とか思ってました。
今回はそんな謎の多い『庚申塔』についてまとめています!
干支の庚申(かのえ・さる)にちなむ庚申信仰
元は中国の道教からきています。
人の体には不老長寿を阻む「三尸虫(さんしちゅう)」という虫がいて、暦で60日目にあたる庚申の日に天に昇り、帝釈天様に人間の悪事を告発して寿命を縮めようとする。
と、されていました。
なので「庚申の夜は眠らずに過ごそう」という守庚申(しゅこうしん)という風習がありました。
それが平安時代に道教とともに日本に入ってきて広まります。
平安時代にこれらの知識を扱っていたのは、政治の中心で活躍していた陰陽師達です。
最初は貴族の間で、眠らずに過ごす→酒宴を開くという形で取り込まれました。
時代が下って権力を持った武将たちに広まり、江戸時代には民衆にも信仰が広がっていたようです。
夜寝ずに酒宴を開くことを「庚申溝」「庚申待」といい、この行事の後に供養塔として建てられたものが『庚申塔』です。
祀られている神様
庚申塔によく掘られている「三猿」は、庚申の「申」からでした。
庚申の「申」は「猿」です。申年(さるどし)のサル。
仏教では庚申の本尊は『青面金剛』とされているため、青面金剛が祀られていることが多いのですが…
元々は特に「庚申塔に誰を祀るか」は決まっていなかったらしく、かなりバラエティに富みます。
日本神話で「猿」と名前に入る『猿田彦神(サルタヒコシン)』も多いです。
猿田彦神は天孫降臨の際に道を示した神様でもあります。
悪いものを祓うため、道の境に配置されることの多かった庚申塔の神様としてはピッタリだったのでしょう。
他には、同様に悪いものを境で祓う道祖神と混同されて祀られるケース有り。
中国の古事にならい帝釈天を祀るケース有り。
仏教系なら釈迦如来にお地蔵様…
その中でも一般的に多かったのが『青面金剛』と『猿田彦神』となります。
庚申塔のご利益
不老長寿を阻む虫の告げ口を阻む。
という古事ですので、ご利益は健康運です!
『不老長寿』や『無病息災』の願いが込められています。
庶民による庚申信仰の興隆は江戸時代
庶民の間で信仰が厚かったのは江戸時代。
大量の庚申塔が立てられたそうですが、時代が大正に移る頃には急速に信仰は鎮静化していきました。
高度経済成長に伴い区画整理が行われ、その際にたくさんあった庚申塔は取り壊されてしまったようです。
今では神社仏閣の境内にあった庚申塔、取り壊しを免れた庚申塔が残るのみとなりました。
…うちの近所にはいくつかあるのですが、やや田舎だからでしょうか?笑
関東だと、東京都渋谷区、渋谷駅に近くにある『豊榮稲荷神社』に多数の庚申塔がありましたよ!
【神社】東京都渋谷区『豊榮稲荷神社(とよさかいなりじんじゃ)』<庚申塔群><堀の外稲荷>
まとめに
庚申溝がもとは「寝ずに身を慎んで過ごす」だったものが「どうせ起きてるなら酒宴だ!」に変わったのは面白いですねぇ。
明智光秀は織田信長らの庚申の首席で厠に立ちすぎた(中座しすぎて)、槍持った重臣たちに「いかにきんかん頭、なぜ中座したか」と責められたそうですよ!笑
お酒飲むと厠近くなるやん行かせたれよ…と思うけど、織田信長と明智光秀の関係を思うに、密偵とか不穏な動きとして疑われたのかも。
現代にも「庚申飲みオールナイトで無病息災!ビール朝までハッピーアワー料金!」みたいなイベントを居酒屋がやればいいと思うのですが、どうでしょう?笑
「よっしゃ個人的に次の庚申は飲み明かすぜ!」という方のために、帝釈天様を祀る『柴又帝釈天』HPで日にちを確認してきました。
こちらです。
2023年(令和5年)庚申の日
初庚申 1月2日(月)
庚 申 3月3日(金)
庚 申 5月2日(火)
庚 申 7月1日(土)
庚 申 8月30日(水)
庚 申 10月29日(日)
納 め 11月8日(木)
忘れないように今から手帳に書いておきましょう◎