目次
カサコシ。
笠毅し。
笠壊し。
祭りの後に行われるという文脈だけど初めて聞いたな…と思い、ネットで調べてみてもあまり情報がなかったので、個人的にまとめたいと思う。
「笠毀し・笠壊し(カサコシ)」とは何か
私が「笠毅し(カサコシ)」の言葉を知ったのは『稲荷信仰/近藤喜博』という本の中です。
本の中で数回「カサコシ」について書かれている箇所があります。
カサコシ・カサコワシに見る祭礼の論理は、旅や物詣からの帰村に当たってのサカ迎えとも通ずるものを持つので、サカ迎えにおける胴振るいも、旅のうちに着いて来た、ついて来ると思われる外界のスピリット的悪霊の家屋に入るのを、まず振るい落とす所作であったと思われる。
なお手近なのは、遠足の帰りに水筒に残っている湯茶は、家に入る前に戸外に捨てるよう、喧しい故老が言ってきたのも、一種の胴振るい(ドウブルイ)であり、カサコシでもあろう。『稲荷信仰/近藤喜博』より引用
水筒の中身を捨てるのは、「水」は思念が宿りやすいからかな。
作中では『枕草子』の文章、
五六月の夕がた、青き草をほうにうるわしく切りて、赤衣着たるをのこの、小さき笠を着て、左右にいとおほく持ちて行くこそ、すずろにをかしけれ
の、「小さき笠」も呪術的な材料を運ぶ赤衣の男が、悪いものから身を守るためではないかという説で「笠」が出てくる。
(「赤い衣」にも呪術的な対策が見える)
中空に存在する邪念から身を護るもの…の意味がありそうでした。
そしたら現代の「帽子」も効果有るのかな?壊せませんが、洗うことで邪気は払えますし。
神事に使ったものならば、むしろ神徳が宿りそうなものだけども…
昔は禍々しいことを「治める」ために行った神事が多く、悪霊・悪魔・邪念・邪視…そういったものと対峙するための防護服として「赤い衣(服)」や「小さい笠」を用いたようです。
呪術を行使する際に、調伏のために相対する「悪いもの」からも攻撃を受けることを想定した防御の一環。
呪術が終わった後、それを壊すことで断ち切るイメージなんですね。
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「葬式の帰りに同じ道を通らない」とか、外のケガレを家に持ち込まないという日本古来の概念に通じるのでしょうか。
「着物を着る時は必ずコートを着て、出かけ先では室内に上がる前に脱ぐ」というのも、ホコリを持ち込まないようにというマナーですが、100年も前くらいまでは、そういった外で付着する「ケガレ」の概念が強かったのかもしれません。
「これは、風水の車輪がついたものを家に入れない(玄関に置かない)」も、同様の概念が関わってるように思います。
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岩手県に残るカサコシ
ネットでヒットしたのは岩手県の情報でした。
<花巻まつりは心の中に>
祭りの後、空になった山車小屋と、それが解体されていくところを見て、何とも言えない気持ちになりました。
そして、あれだけ毎日集まっていたのに…心にぽっかり穴の開いたような、寂しい気持ちになったものです。今でも花巻ばやしが幻聴で聴こえてきます…(職場で誰かが流していただけだと思われます)。
花巻まつりは、毎年9月の第2金・土・日。
1年後、ですが、そう遠くはありません。とある山車団体では、笠越(かさこし※)の時点で既に翌年の題材がほぼ決まっていたり、1月には実行委員会も始動しています。
(略)
※直会(なおらい)や鉢洗い、打ち上げとほぼ同意。前夜祭でそろえた笠(笠揃え)を壊す意味で、「笠壊し」が変化して、こう呼ばれたよう。
<かさぞろえ、かさこし>
花巻においては祭りが始まる時の儀式を「かさぞろえ」、終わった後の打ち上げのことを「かさこし」言う。どうやら後者の語源は「笠こわし」らしい。昔は神仏を拝みに遠出する時に「笠揃え」と言って一行の笠を用意し、帰ったら無事の帰還を祝ってかぶってきた笠を壊していたようだ。祭りは「祀り」。祭りに参加するとはイコール神仏への拝礼であるから、始まる前の「かさぞろえ」、終えた後に「かさこし」を行うのだろう。
前述した本の舞台は、伏見稲荷大社のある京都府。
「笠壊し」よりも「笠揃え」の方がヒット数は多かったかな。
どちらも、神事の前のお披露目会(笠揃え)、神事の後の打ち上げ=直会(笠壊し)の意味に転じた形で伝わっている様子。
まとめに
現代では外の「ケガレ」を意識することは少なくなりました。
私はスピリチュアルな活動をしているので、開運目線で土地が良いとか良くないだとか考えることも多いのですが…
一般的には気にされていないものですよね。
しかし、特に意識せず、なんとな~くでも「嫌な感じの場所」「気持ちのいい場所」は知覚してるもの。
魔物が潜む薄暗い山奥
凶事があった場所
ゴミが散乱する繁華街の裏路地
心霊スポット
こういった力場の低い場所はイメージしやすいと思います。
果たして「イメージ」なのでしょうか。
なにか悪いものが憑いているのかも。
塩の祓いも有効ですが、特に用意がない場合は、何かを依り代に見立てて破棄することでも効果がありそうです。
以上、「カサコシ」についての所感でした。