目次
日本全国で八幡神社の次に多いと言われるお稲荷さん。
お稲荷さんは商売繁盛、五穀豊穣と、身近な利益の祈願を叶えてくれる庶民派の神様です。
神社には神様を守る「狛犬」がいるものですが、稲荷系統には「狛狐」様がいらっしゃいます。
狛狐様は何かしらを口にくわえていることが多いです。
今回はそんな狛狐様がくわえているものについてご紹介します。
狛狐がくわえているもの
玉
<伏見稲荷大社の狛狐様(玉)>
玉は「宝物」、宝珠です。
狛犬の場合は、古代の中国画に描かれている絵図から「高貴なもの」の意味で意匠に取り込まれていることが多いそうですが、狛狐の場合は宝珠としての意味合いが強いようです。
『鍵玉信仰』というものがあり、玉と鍵は対になるモチーフなのです。
玉は宝、宝物庫を表すという説も有ります。
<瀬崎稲荷神社の狛狐様(玉)>
【神社】西伊豆 松崎港 『瀬崎稲荷神社』<港のお稲荷さん><『世界の中心で愛をさけぶ』のロケ地>
鍵
<伏見稲荷大社の狛狐様(鍵)>
鍵玉信仰の対のモチーフ、鍵。
「宝物庫を開く鍵」であり、宝を手に入れる手段を表します。
玉を「稲荷神の霊威(神通力)」であるとし、その神通力を手に入れようとする「願いの象徴」とも言われます。
「鍵」自体が大切なもの・財産等を保護し、手に入れる手段という吉祥です。
西洋では「鍵&錠」の組み合わせで吉祥とされるケースが多いですが、日本ではこの溜ま鍵信仰によって「鍵と宝物庫」の組み合わせの概念が適用されているという感じです。
【ラッキーモチーフ】未来を拓く『鍵』のモチーフ!『錠』と合わせて絆を強固にするパワーも♪
<旧・来宮神社の狛狐様(鍵)>
<白赤稲荷神社の狛狐様(鍵)>
巻物
<伏見稲荷大社の狛狐様(巻物)>
巻物は『智恵』を表します。
五穀豊穣・商売繁盛。
豊かさを得るためには知識が必要不可欠。
実りを多くするためには、季節の知識、植物の知識、道具の知識など、様々なノウハウがあります。
学び、考え、実践して身に着けていく知識を用いて判断し適切に運用していく人類の宝の一つが「智恵」です。
仏教系お稲荷さんでは、ありがたい「経典」を表しているとも。
<豊川稲荷横須賀別院の狛狐様(巻物)>
【仏閣】神奈川県横須賀市『豊川稲荷 横須賀別院』<徳寿院><成田山不動尊>
<佐助稲荷神社参道の狛狐様(巻物)>
【神社】神奈川県鎌倉市『佐助稲荷神社』<源頼朝><出世稲荷><鎌倉の隠れ里>
稲穂
<伏見稲荷大社の狛狐様(稲穂)>
くわえている稲は、「豊穣」「豊作」を表します。
稲が生る⇒イネナリ⇒イナリ⇒稲荷
五穀豊穣のメインはお米である稲です。
狐は、農業のお仕事が盛んになる時期に里で姿を見掛けはじめ、稲の収穫が終わるころには山に帰っていくことから、「田の精」「田の神」とされました。
黄金色のフサフサのしっぽが稲穂に似ているから、という理由もあるそうです。
かわいいですね!
<白笹稲荷神社精霊社の狛狐様(稲穂)>
こちらの狛狐様は、像としての意匠に稲穂をくわえているわけではないのですが、お正月期間というおめでたい時期に稲穂を身に着けてらっしゃいました。
稲穂は瑞兆としての効果が高いのだろうと思います。
【神社】神奈川県秦野市『白笹稲荷神社』<関東三大稲荷><コンクリート製の狛狐様>
色んな狛狐様
よく見かける代表的な4点(玉・鍵・巻物・稲穂)の他にも様々な意匠があります。
子守母狐
<白笹稲荷神社の狛狐様(子狐)>
子狐と一緒になっている狛狐様も結構見かけます。
意味は「子孫繁栄」「子宝」を象徴します。
<横浜高島屋屋上の最上稲荷神社の狛狐様(子狐)>
まとめに
いかがでしたでしょうか?
意味が解ると狛狐様へのありがたみ、より増すのではないかなと思います。
狛犬もそうですが、狛狐像にはその神社仏閣の眷属が宿っていると言います。
各神社仏閣にある様々な狛狐様。
セットになっている玉や鍵などのモチーフ、表情やデザインも個性豊かです。
神社仏閣に参拝された際には、ぜひじっくりとご覧になってみてくださいね!