
目次
<御岩神社の基本データ>
名称 | 御岩神社(おいわじんじゃ) |
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御祭神 | 国常立尊/大国主命/伊邪那岐尊/伊邪那美尊 ほか(御岩山総祭神188柱) |
御朱印 | 御岩神社/かびれ神宮(各300円)※雨の日限定の書置きあり(800円) |
御神塩 | 通常頒布なし。大祓など特定行事・祈祷返礼で授与される場合あり |
御神土 | なし |
御神水 | なし(境内での水汲み案内はなし) |
駐車場 | P1(社前)、P2〜P4(無料)※P2は16:30閉場 |
住所 | 〒311-0402 茨城県日立市入四間町752 |
電話番号 | 0294-21-8445 |
公式サイト | 御岩神社公式 |
境内の様子と見どころ
御岩神社の拝殿と境内全域について
<御由緒>
当社の創建時期は不明ですが、縄文晩期の祭祀遺跡の発掘や、日本最古の書のひとつ『常陸國風土記』(721年)に「浄らかな山かびれの高峰(御岩山の古称)に天つ神鎮まる」と記されていることから、古代より信仰の聖地であったことがうかがえます。
御祭神は国常立尊・大国主命・伊邪那岐尊・伊邪那美尊・大山祗神をはじめ、御岩山総祭神188柱。
中世には山岳信仰とともに神仏習合の霊場となり、江戸時代には水戸藩初代藩主・徳川頼房公が出羽三山を勧請し「藩の国峰」と位置づけました。光圀公(水戸黄門)をはじめ、歴代藩主が参拝する祈願所でもありました。仏像の現存や境内遺跡、祭事のあり方などから、古代信仰(古神道)と神仏習合が色濃く残り、「神仏を祀る唯一の社」 とも称される独自の信仰を伝えています。
<御祭神>
国常立尊(くにとこたちのみこと)/大国主命(おおくにぬしのみこと)/伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)/伊邪那美尊(いざなみのみこと)/ほか二十二柱御岩神社HPより引用
名前の印象やパンフレットの雰囲気から、私は「シンプルで武骨な神社」を想像していました。
しかし実際に参拝してみると…無骨なんてとんでもない。
御岩神社は驚くほど美麗な神社でした。
山の中、森の中の自然エネルギーに満ちた環境。
境内の隅々まで手入れが行き届き、建築物も芸術性の高いものばかりで、歩いているだけで心が高揚します。
私は2日連続で参拝しました。初日は雨、翌日は晴天。
雨の日はしっとりと厳粛な雰囲気、晴れの日は光あふれる清々しさ、どちらも異なる魅力がありました。
(後述しますが、雨の日には限定御朱印も授与されます。)
特に印象的だったのは神仏習合の色合いです。
境内の斎神社(さいじんじゃ)では、私は自然に仏様として手を合わせていました。
境内では仏教的要素が強く感じられる一方、山に入ると「神社らしい空気感」が漂っていて、不思議な二重性があります。
とにかく「美しい」という言葉が真っ先に浮かびます。
神仏への崇敬を超えて、まるで美術館の庭園を散策しているような高揚感がありました。
斎神社(日向殿)
<御祭神>
天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)/高皇産霊神(たかむすびのかみ)/神皇産霊神(かみむすびのかみ)/八衢比古神(やちまたひこのかみ)/八衢比賣神(やちまたひめのかみ)御岩神社HPより引用
私は最初、完全に仏閣として参拝してしまいました。
斎神社の周辺は、境内の中でも特に仏教色が強いエリアです。
入口には「阿弥陀如来像 斎神社日向殿」「日立市指定文化財彫刻 木造阿弥陀如来坐像」と書かれた看板があり、実際に中へ入ると立派な阿弥陀如来像が安置されています。
どう見てもお寺の本堂のような雰囲気でした。
おそらくこれは、明治の神仏分離の際に「神社」として残すための工夫だったのではないでしょうか?
岐阜県の南宮大社にある稲荷社も、元は仏教系の信仰だったのに「稲荷神社」と名を変えて存続した例があり、同じような経緯を思い出しました。
阿弥陀如来像だけでなく、注連縄を巻かれた巨木の輪切り板、迫力の龍雲の天井画など、神仏習合を象徴するような神聖なアーティファクトが数多く残されています。
訪れると、神と仏が同じ空間に息づいてきた歴史を肌で感じられる場所です。
💡関連記事:岐阜県『南宮大社』の参拝記事はこちら
巨木を輪切りにした一枚板
斎神社の内部には、しめ縄が掛けられた巨大な木の輪切り板が展示されています。直径は数メートルに及ぶ迫力で、1000年を超える御神木の一部と考えられています。
境内では、切り株から新しい枝葉が芽吹いている姿も見られ、この輪切り板もそうした御神木に由来するのかもしれません。
大霊場・御岩山で長い年月を生き抜いた巨木と対面すると、その存在自体が浪漫を感じさせてくれます。
天井の龍雲図
斎神社の天井には、迫力ある龍の天井画「御岩山雲龍図」が描かれています。
茨城県出身の画家・岡村美紀氏による作品で、御岩神社の龍神信仰に基づき「雨を降らせ、仏の教えや神の道を広く伝える」という意味が込められています。
この龍はまた、御岩山全体を火の災いから守護する役割も象徴しているとされ、境内に漂う厳粛な雰囲気をより一層高めています。
実際に天井を見上げると、今にも龍が動き出しそうな迫力。訪問時は社殿の奥まで足を運び、この素晴らしい天井画をぜひ見ていただきたいです。
斎神社日向殿横の動物像
斎神社日向殿の前には、狛犬に似た動物像がいくつも並んでいます。
牛や猫を象ったものもあり、ユニークな表情が参拝者を和ませてくれます。
実際に確認できたのは、狛犬様が2体、狛猫様が3体、御神牛が1体、そして狛猿(お大様)が1体。
いずれも丸みのあるフォルムと、どこかユーモラスな表情が特徴的です。
厳粛な雰囲気の境内にあって、これらの像はどこか柔らかい空気を漂わせ、訪れる人をクスリと笑顔にしてくれる存在でした。
参拝の際はぜひ立ち寄って、その愛らしさを感じてみてください。
奥宮までの道のりは軽登山
<入山の心得>
- 登山ルートの厳守
- 降雨・降雪・積雪時の入山禁止
- 午後3時以降の入山禁止
- 動植物や石の採取禁止
- 火気厳禁
- ごみ投棄禁止
- 食事・酒類禁止
※必ず飲物を持ってご入山ください
※山中にお手洗いはありません御岩神社リーフレットより引用
境内の左側に表参道があり、ここから山中に入ることができます。
リーフレットの地図を見ると本殿横からのルートも描かれていますが…実際に歩いてみると、完全に登山道です。
整地された砂利道のような参道を想像していた私は驚きました。
そこに待っていたのは「普通に山」。
軽登山・ハイキングと考える方が正解です。
本殿横の登山口からかびれ神宮まで約20分。
さらに御岩山山頂まではプラス20分。
下山は本殿まで約30分ほどです。
途中で祈願や休憩を挟めば、往復1時間30分〜2時間が目安でしょう。
登山道は序盤こそ緩やかですが、山頂に近づくにつれて急斜面が増え、息が上がる場面も。
ある程度の気合は必要です。
服装は重要ポイント。
サンダルやスカートは絶対にNG。
とはいえ、スニーカーと動きやすい格好であれば、本格的な登山装備がなくても十分に登れます。
奥宮:かびれ神宮
<水戸藩の祈願所>
御岩大権現・奥宮かびれ大神宮は、水戸藩の祈願所として代々の藩主が参拝を常例としました。
社殿の維持管理や「山役銭」(参拝者から徴収する税)の管理まですべて水戸藩の管轄で行われていたといいます。
初代藩主・徳川頼房公はこの地に出羽三山を勧請し、その後、光圀公の尊慮により大日如来を本地とする「御岩大権現」と改称。
また、明暦三年(1657年)には、かびれ大神宮にて『大日本史』編纂のための「筆初めの儀」が行われた記録も残されています。
<御祭神>
天照大神(あまてらすおおみかみ)/邇邇藝命(ににぎのみこと)/立速日男命(たちはやひをのみこと)
御岩神社HPより引用
かびれ神宮は、御岩神社の奥宮にあたります。
御岩山そのものが古代からの霊域で、ここには幾柱もの神々が祀られています。
社殿は比較的新しいように見えますが、周囲の石垣や階段には苔がむしており、長い歴史の気配を感じさせます。
私が訪れた日は土日で参拝者も多く、かびれ神宮の前で息を整えている人たちが目立ちました。
登山途中の休憩ポイントでもあり、同時に心を落ち着けて祈ることのできる場所です。
奥宮という特別な響きにふさわしく、かびれ神宮には「山そのものが神域である」という感覚が色濃く漂っていました。
御岩山頂とハートのある石
山頂には、神が降り立ったと伝えられる祭祀場跡があります。
祠と石柱が並び、ここが古来より神聖な儀式の舞台だったことを物語っています。
御岩神社には「宇宙から光の柱が見えた」という不思議な逸話があります。
アポロ14号の宇宙飛行士エドガー・ミッチェル氏や日本の宇宙飛行士・向井千秋さんが、宇宙から地球を眺めた際に“強く光っている地点”があり、それが日本の山中、御岩山であったと言われているのです。
その真偽はさておき、山頂に立つと「確かに光が降りてもおかしくない」と思わせるほどの清らかさがあります。
視界が開け、風が通り抜ける空間は、まさに神が宿る頂。
景色も良く風が通って気持ちの良い空間です!
見落とし注意の祠と石柱
山頂に到着したら、少し奥まった場所にある祠と石柱もぜひ探してください。
案内はありませんが、ここが祭祀場跡です。
私は運良くボランティアのおじさまに教えていただきました。
なんと、その方はほぼ毎日この山に登っているそうです。
ハート型の石
さらに、山頂の岩場にはハート型の穴が空いた石があります。
岩を少し登った位置にあるため、知らなければ気づけないでしょう。
ここでも先ほどのおじさまに教えていただき、見ることができました。感謝です。
このハートの石は、恋愛運や縁結びを象徴するスピリチュアルサインとしても人気があります。
💡関連記事:ハートの形をよく見る時のスピリチュアルな意味
そういえば桜井識子さんの本には、こちらの岩場がパワースポットだと載っていました。
『にほんの結界ふしぎ巡り』という本です。
もし御岩神社に行く前にこちらを呼んでいるのなら、ぜひ岩場も登ってみてくださいね!
三本のご神木に守られたお社
こちらは特に説明書きが見当たらなかったのですが、すごく「映える」お社で、ほぼ全員通りがかる人が写真に収めていました。
私が撮った写真もいい感じに光が映りこんでおり、実はパワーが強い場所なのかもしれません。
薩都神社中宮
<御祭神>
立速日男命(たちはやひをのみこと)
山頂から御岩神社へ下山する裏参道沿いに、ひっそりと鎮座するのが薩都神社中宮です。
伝承によれば、立速日男命は最初に町の近くへ降り立ちましたが、そこが人の生活に近く“不浄”が多かったため、より清浄な賀毘禮(かびれ)の山へと移ったとされます。
その後、険しい山で参拝が難しいことから、常陸太田市に「薩都神社」が遷座。その総本社にあたるのが、ここ中宮です。
真っすぐに伸びる木々に囲まれ、静寂に包まれた空間は、まさに神の息づかいを感じさせます。
派手さはないものの、古代から続く信仰の深さを実感できるお社でした。
お社にはオシドリのモチーフが彫られていましたよ。かわいいです。
御岩神社境内のお稲荷さん
拝殿に向かって右手、裏参道の入り口前にお稲荷さんのお社があります。
ここでまず目を引くのは、通常なら駒狐様が置かれる位置に、大黒様と恵比寿様の像が並んでいること。
珍しい配置で、縁起がいいです。
このお稲荷さんについても、桜井識子さんの著書『にほんの結界ふしぎ巡り』にも紹介があり、「陽気で明るい性格の神様」だそうです。
さらに、お稲荷さんの左側から拝殿裏へと回り込むと、奥には竜が巻き付いた剣の像が立っています。
倶利伽羅竜王を思わせる姿で、まさに「説明のない迫力あるオブジェ」といった存在感。
御岩神社の境内は、こうした突然現れる神秘的な造形物が多く、油断して歩けない楽しさがあります。
御岩神社の御朱印
御岩神社では、通常の御朱印が 2種類 頒布されています。
①御岩神社
②かびれ神宮
(各 初穂料300円)
御朱印は「参拝の証」として頒布しております。
参拝した御社・御宮の御朱印をお受けください。
御朱印の案内の上にはこんな文言も。
関東でも最強格のパワースポットと人気の神社なので、あまり考えたくないですが、転売などをする不届きな人も少なくないのかもしれません…。
本来は神仏とのご縁をいただいた証ですので、敬意を持って受けたいところです。
神社仏閣によって、お参りの前に受付を済ませて、参拝の帰りに受け取ることを推奨している場所もありますし、きちんと参拝すれば、時間の都合で先にお受けしても問題はないかと思います。
授与所で案内をご確認ください。
『かびれ神宮』は登山道の先なので、そちらに参拝しない場合は『御岩神社』の御朱印を頂くと良いと思います。
💡関連記事:御朱印についての詳しい記事はこちら
雨の日限定御朱印
さらに御岩神社には、雨の日限定の御朱印があります。
- 書置きのみ
- 初穂料:800円
- 龍が描かれたデザイン
私も雨の日に参拝し、実際にいただくことができました。
龍神信仰の山らしい力強い御朱印で、特別感があります。
御岩神社でのスピリチュアルサイン
天候が変わる歓迎サイン
私は御岩神社に2日連続で参拝しました。
初日は晴れ予報だったのに、山に入った途端に大雨。
翌日は快晴で、同じ場所でもまったく違う表情を見せてくれました。
賀毘禮の山は険しいため、雨天時の登拝は推奨されていませんが…実際に体験すると、雨の日ならではの神聖さがありました。
森が潤い、空気が澄み、神々の気配をいっそう近くに感じたのです。
さらに、雨の日には限定御朱印もいただけました。
斎神社日向殿の案内にも「水を司る龍神が雨を降らせ、神仏の道を広く伝える」とあり、雨は龍神様の吉兆。
予報と違って降った雨は「歓迎のサイン」と受け取りました。
実際、下山すると雨はやみ、市街地は晴れていたのです。
不思議な天気でした。
💡関連記事:神社仏閣で天候が変わる歓迎サインについて
人との交流もサイン
登拝中は、多くの人と声を掛け合いました。
足場の悪い場所で助け合ったり、山頂で雑談したり…その中で「岩のハートの穴」を教えてくださったボランティアの方にも出会いました。
動物が神の使いとして現れることはよく知られていますが、この時は人の優しさそのものが神様のサインのように感じられました。
親切をした側も、受けた側も、どちらも祝福されている。
御岩神社の山中は、そうした気配に満ちていました。
💡関連記事:神社仏閣で挨拶や親切を受ける歓迎サインについて
御岩神社へのアクセスと駐車場
車でのアクセス
- 常磐道 三郷IC → 日立中央IC(約1時間30分)
- 日立中央ICから御岩神社までは 車で約10分
電車でのアクセス
- 東京駅 → 上野駅(常磐線快速・特急、16/17番ホーム)
- 上野駅 → 日立駅(約1時間30分)
- 日立駅からはバスを利用
バスでのアクセス
- 日立駅中央口 1番のりば → 茨城交通「60東河内方面」行き
- 所要時間:約35分
※バスの本数は少なく、朝6時〜19時までの運行で1時間に1本程度(10時、11時、13時、16時は運休)。
帰りの電車の時間に合わせて事前に時刻を確認しておくのがおすすめです。
駐車場情報
御岩神社には複数の無料駐車場が整備されています。
- P1駐車場:神社正面、最も便利
- P2〜P4駐車場:バス停近く、混雑時でも安心
※特に P2は16:30閉場 なので注意
週末でも比較的停めやすく、平日の雨天時はP1も満車にならない程度の混雑でした。
御岩神社周辺の宿泊施設
御岩神社は日立市郊外にあり、参拝の前後にゆったり過ごすなら宿泊がおすすめです。
神社近辺は宿が少ないため、日立駅周辺や海沿いエリアを拠点にすると動きやすいです。
日立・太田尻海岸 うのしまヴィラ(海が見える癒やし宿)
- 全室オーシャンビュー。朝日を望めるロケーションで海の気を取り込みやすい。
- 地産地消の食事(地魚・地野菜)。吉方位旅にも相性◎。
- 日立駅から車で約8分。駐車場無料。公共交通のみの旅はやや不便。
スパ&サウナ ホテル日立プラザ(駅近・コスパ重視)
- 日立市街でリーズナブルに泊まれるビジネスホテル。
- 駐車場無料。客室はコンパクトだが清潔でソロ旅に十分。
- コンビニは駅側。必要な物は移動途中に調達しておくと安心。
※御岩神社から日立駅周辺までは、車で約25〜40分(時間帯・ルートにより前後)。
神社仏閣やパワースポットに旅行するときは、良い方角と日付を選ぶと大きく運が開けます。
💡関連記事:吉方旅行、方位取りのやり方についてはこちら
まとめに
関東屈指のパワースポットと称される御岩神社。
実際に訪れてみると、その評判以上に美しく、山全体が神域としての力を放っているのを強く感じました。
拝殿から境内社、斎神社、そしてかびれ神宮や山頂まで…一歩進むごとに空気が変わり、まるで神仏の世界を旅しているよう。
参拝するだけで心身が浄化されていくような体験でした。
また、東京近郊から見ると茨城県は「東北=鬼門」の方位にあたることも多く、人生の転換期や運気の流れを変えたいときに参拝する神社としてもおすすめです。
想像以上にスケールの大きな霊場。
それが御岩神社でした。
次の吉方位旅行や、節目のタイミングで、ぜひ訪れてみてください。